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AI時代を勝ち残る新しい研究所のあり方


「AI(人工知能)は人間の仕事を奪うのか?」この突拍子もない議論が真実味を帯び始めたのは2016年12月のあのニュースからだろう。「Magister」という謎のID棋士がネット上で世界トップの棋士達と戦い、60戦60勝と完勝してニュースになったが、その後この棋士の正体はAI(人工知能)と発表され、さらに騒然となった。

1965年に天才数学者「I.Jグッド」は人工知能について次のように予言した。「あらゆる賢い人をも大きく超えるような超知的マシンがあるとしよう。そのような超知的マシンは、さらに知的なマシンをも開発できてしまうだろう。それにより間違いなく知性の爆発的進化があり、人類は置き去りにされて二度と追いつくことはできない。したがって最初の超知的マシンが発明された時、それは人類最後の発明となるのである」

これはコンピューターが人類の知性を超える「シンギュラリティ」を意味を指しているが、彼の予言は行き過ぎている感は否めないが、エクサ(ギガバイトの1億倍)スケールのスーパーコンピューターを開発した国家『だけ』が、更に高度なスーパーコンピューターを開発できると考えるのが妥当であり、現代社会においてはエクサスケールのスパコン開発国が世界の覇者になることを意味していると言っても過言ではない。

それもそのはず、2010年にイランの国家最高セキュリティのウラン工場がハッキングされた「スタックスネット」の例からもわかるようにハッキング力、つまり「人工知能やスパコンの性能=国の力」となっている。これからの時代は核兵器を持っている国が強いのではなく、スパコンによるハッキングが常識となれば、核兵器を保有している事はリスクでしかなくなる。そしてそのスパコンを開発できるのは人工知能であるため、各世界各国が人工知能の開発を競い合っている。

ソフトバンクの孫正義氏が「近い将来IQが1万の人工知能が生まれる」と発言したことは有名だが、人間でIQが200もあれば超がつく天才である。その500倍の知能となると、今回のレポートのテーマである「このペースで進めばAIはほとんど全ての職業の代わりが出来る」というのも、もはや都市伝説とは言い切れない状態になっている。

AIの進歩により真っ先に職を失うのとされているのは教師、士業、医者、パイロット、タクシー運転手、研究者などが筆頭に挙げられるが、事実、AIの登場でアメリカでは既に数万人の会計士が職を失っている。なぜ会計士が職を失ったのか?と言えば、彼らは「決められたルール」で仕事をしていたからだ。大半の会計士は「決められたルールで税金を最大限安くする」といった、シンプルで単純な作業で報酬を受け取っていた。そしてこれはAIが最も得意とする分野である。

この会計士の失業例だけ見ると「AIに仕事を奪われるのでは?」という懸念が生まれるのも当然であるが、ここで注目するべき点は「AIは決められたルールでのみ動作する」という原点だ。そう、AIにはクリエイティビティはなくルールの範疇でしかその力を発揮できないのだ。

AIの最大の弱点は「フレーム問題」と言われているが、これは予想外の出来事には全く対応ができず、コンピューターがフリーズ状態になってしまう。つまりAIとはルールの範囲内でしか活躍できないのだ。

もう1つ、映画ターミネーターの影響で「AIが人間を支配する」という突拍子もない発想が生まれたが、現時点で「AIが出来ることは1つだけ」という事実がある。例えば囲碁なら囲碁だけ、将棋なら将棋だけであり、いくら囲碁の世界チャンプのAIであっても、将棋をやらせたら弱いどころか、作動すら出来ない。

またサーバー代などは高額であり、世間を騒がせた「アルファ碁」も、一説によるとサーバー代のみで100億円近いと言われている。

脳科学者の茂木健一郎氏が指摘する通り「人間と人工知能の最大の違いは”雑談力”」であり、人間にとって当たり前のコミュニケーションが、AIに逆立ちしてもできない。そして会話を含むコミュニケーションからしか「創造」や「想像」などのイノベーションは生まれないことも周知の事実である。

つまり現時点ではAIが人間の仕事を奪うというのはおとぎ話レベルなのである。しかし約10年後の2030年にはAIは言語から知識を吸収できるようになり、単純な教師の代用はできると言われている。なぜ「単純な教師」と限定されているのかと言えば、特に日本の教師のような教科書を読み上げるだけの型にはまった、ルールの範囲内の作業は、AIが得意とする分野だからだ。

結論を言えば『コミュニケーション』こそが人間がAIに勝る最大の武器であり、イノベーションの根源であるとも言える。逆にいえばコミュニケーションのとれなかったり、必要がないと思いこんでいる人間や職業はAIにとって変わられる可能性が高い。

世界から賞賛されている日本の技術職、研究職の方々はコミュニケーションが得意ではない所か、そもそも必要がないとさえ思っている人が多い。これではAIに取って代わられるのではないか?

これから嫌でも訪れるAI時代において、これまで研究室にこもってコミュニケーションを必要としなかった研究者の方々はどう変わればよいのか?そしてどのようなコミュニケーションをとれば今以上にイノベーションを生み出せるのか?

これまで数々の研究者の方々にコミュニケーションを伝授した実体験から、これからの時代を勝ち残る研究室と研究員のための、具体的なテクニックの数々を別レポートで紹介しようと思う。

 

【レポート】研究室を変える唯一の方法は「コミュニケーション」にあり。具体例を交えた「研究室のイノベーション」を実例を交えたレポートとしてまとめました。

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